世界じょうしき図鑑

鉛占いなまりうらない溶かした鉛で新年を占う

大みそかの夜に溶かした金属を冷たい水に落とし、固まった形から新しい年の運勢を占う、ドイツやフィンランドなどの年越しの習慣。

発祥:ドイツ・フィンランドなど古代〜(年越しの習慣として近代に定着)形や模様を読む解説のみ

概要

ブライギーセン(Bleigießen)は、ドイツ語で「鉛を注ぐ」という意味です。溶かした金属を冷たい水に落とし、固まった形を見て新しい年の運勢を占います。ドイツ、オーストリア、スイスなどで、大みそか(ドイツ語でジルヴェスター)の夜の楽しみとして親しまれてきました。

ただし、2018年からは鉛を使ったセットがEUの規制によって販売されなくなりました。現在は、錫(すず)やろう(ワックス)を使う方法が主流です。この記事では、昔ながらの習慣と、今の楽しみ方の両方を紹介します。

由来と歴史

溶かした金属の形で占う方法は、学問的には「モリブドマンシー(鉛占い)」と呼ばれます。ドイツ語版の百科事典などでは、鉛を大量に使った古代ローマの時代にはすでに行われていたと説明されることがあります。ただし、古代から今の形のまま続いてきたことを示す、はっきりした記録は多くありません。

ヨーロッパの民間の習わしでは、溶かした鉛やろうの形から、将来の結婚相手などを占うことがありました。ロシアの冬の祝祭でも、娘たちが溶かしたろうを水に落として占いました(「スビャートキの占い」を参照)。ドイツ語圏では、こうした占いが大みそかのパーティーの遊びとして定着し、手軽なセットが店で売られるようになりました。

フィンランドにも、「ウーデンヴオデンティナ(新年の錫)」と呼ばれる同じような習慣があります。馬のひづめの形をした小さな金属を溶かし、水に落として形を読みます。

やり方

基本の手順はシンプルです。

まず、バケツやボウルに冷たい水を用意します。次に、専用の小さなスプーンに金属のかけらをのせ、ろうそくの火であぶって溶かします。溶けたら、一気に水の中へ注ぎます。ジュッという音とともに金属が固まり、でこぼこした不思議な形ができあがります。

できた形を取り出し、それが何に見えるかを考えます。ろうそくの光で壁に影を映し、影の形で読む方法もよく知られています。

形の読み方

市販のセットには、形と意味の一覧表がよく付いています。たとえば、船は旅行、ハートは恋、星は幸運、といった具合です。ただし、意味は一覧表によって違い、決まった正解はありません。

実際には、家族や友人と「これはウサギに見える」「いや、靴だ」と言い合うこと自体が楽しみです。占いの結果を真剣に信じるというより、新年への願いを語り合うきっかけとして楽しまれてきました。

鉛からの切り替え

鉛は体に有害な重金属です。熱すると有害な蒸気が出るおそれがあり、小さな子どもは特に影響を受けやすいとされます。ドイツの消費者団体シュティフトゥング・ヴァーレンテストが2012年に調べたセットでは、鉛が7割ほど含まれていたと報告されています。

EUは化学物質の規則で鉛の含有量に上限を設け、2018年から鉛のブライギーセン・セットは販売できなくなりました。フィンランドでも、2017年末の年越しが鉛を含む新年の錫を売る最後の機会になると報じられました。習慣そのものを罰する法律ではなく、鉛を含む製品の販売が規制されたという点に注意が必要です。

代わりに広まったのが、錫を使う「ツィンギーセン」と、ろうを使う「ヴァクスギーセン」です。ヴァーレンテストは、錫のセットでも合金には鉛が含まれる場合があり、本当に鉛を含まないのは純粋な錫だけだと注意しています。ろうは子どもにも扱いやすい素材として勧められています。

安全のための豆知識

錫やろうでも、熱い金属やろうが飛び散ればやけどをします。子どもが行うときは、必ず大人がそばにいるようにしましょう。水は深めに入れ、周りに燃えやすいものを置かないことも大切です。

形を読んで楽しむ占いには、ほかにトルコの「コーヒー占い」などもあります。

参考文献

最終更新:2026-10-08

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