世界じょうしき図鑑

シャガイ占い羊のくるぶしの骨で読む

羊のくるぶしの骨「シャガイ」を投げ、出た面の組み合わせで運勢を占うモンゴルの遊びと占い。4つの面は馬・羊・ラクダ・ヤギに見立てられています。

発祥:モンゴル遊牧の暮らしとともに古くからカード等を引く体験できる

シャガイを投げる

4つのシャガイを投げて、出た面(馬・ラクダ・羊・ヤギ)の組み合わせを読みます。

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概要

シャガイは、羊のくるぶしにある小さな骨のことです。解剖学では「距骨(きょこつ)」と呼ばれ、足首の関節をつくる骨の一つです。モンゴルの遊牧民は、この骨をきれいに洗って磨き、遊び道具や占いの道具として使ってきました。

シャガイは形がでこぼこしているため、転がすと4つの面のどれかが上になって止まります。モンゴルではそれぞれの面を家畜に見立てて、「馬」「ラクダ」「羊」「ヤギ」と呼びます。

由来と歴史

羊は昔から遊牧民の大切な家畜で、肉を食べたあとに残る骨も無駄にしませんでした。シャガイを使った遊びがいつ始まったのか、はっきりした年代はわかっていません。ただ、モンゴルでは古くから受け継がれた遊びとして大切にされています。

くるぶしの骨を投げる習慣は、モンゴルだけのものではありません。古代ギリシャでは「アストラガロス」、古代ローマでは「タルス」と呼ばれ、遊びや賭け事、神託に使われました。ローマでは4つを投げてすべて違う面が出ると、最もよい目とされたことが知られています。こうしたことから、くるぶしの骨はサイコロの祖先の一つと考えられています。中央アジアのカザフやキルギスなどにも、よく似た骨の遊びが伝わっています。

仕組み・やり方

4つの面

馬とラクダは骨がふくらんだ側の面、羊とヤギはくぼみのある側の面にあたります。平らでない地面では、まれにどの面ともいえない向きで止まることがあり、これを「牛」と呼ぶ例もあります。

占いの読み方

よく紹介される方法では、4つのシャガイを手に持って投げ、出た面の組み合わせを見ます。一般に、馬とラクダが出るとよく、羊とヤギが出るとあまりよくないとされます。中でも馬はいちばん縁起のよい面です。4つとも別々の面が出たときは、とても運がよいしるしとされます。

ただし、読み方は地域や家庭によってさまざまです。決まった教科書があるわけではなく、家族のあいだで口伝えに受け継がれてきました。

いろいろな遊び

シャガイの遊びは何十種類もあるといわれます。代表的なのが「馬のレース」です。シャガイを一列に並べてコースに見立て、自分の「馬」を進めてゴールを目指します。ほかにも、骨をはじいて当てる遊びや、たくさんの骨を投げ上げて受け止める遊びがあります。

文化の中での位置づけ・現代

シャガイは、モンゴルの旧正月「ツァガーンサル」と深く結びついています。親戚が集まる冬の祝日に、家族でシャガイ遊びをする光景は今もよく見られます。

競技として特に有名なのが「シャガイ・ハルワー(シャガイ射ち)」です。6〜8人のチームで、ドミノのような形の大理石の小さな板を、なめらかな木の台の上ではじきます。そして、離れた所に置いた羊のシャガイの的を倒して点を競います。射手は伝統的な旋律や歌を歌いながら競技し、腕前や位に応じた衣装を身につけます。この「モンゴルのシャガイ射ち」は、2014年にユネスコの無形文化遺産の代表一覧表に記載されました。技術や道具づくりは、師匠から弟子へと受け継がれています。

なお、夏の祭典「ナーダム」も、2010年に別の項目としてユネスコの無形文化遺産に記載されています。ナーダムの中心は競馬・相撲・弓射ですが、シャガイ射ちの大会も行われています。

よくある誤解・豆知識

シャガイの占いは、神様に正式にお伺いを立てる宗教儀式というより、暮らしの中の遊びに近いものです。結果に一喜一憂するより、家族で笑い合う時間そのものが大切にされてきました。

また、モンゴルでは友情のしるしとしてシャガイを贈り合うこともあります。くるぶしの骨を使う占いや遊びは世界中にあり、偶然の結果に意味を読むという点では、中国の易などとも共通しています。

参考文献

最終更新:2026-10-08

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